「業務を分担できる仲間」を増やす!おぎの里様が進めた、現場が回る仕組みづくり

社会医療法人 新潟勤労者医療協会 介護老人保健施設 おぎの里

介護業

短時間勤務

業務最適化

新潟市秋葉区にある介護老人保健施設「おぎの里」。
入所・通所リハビリテーションを通じて、利用者の「家庭生活への復帰」を支援する地域の中核施設です。おぎの里様では、多くの介護現場と同様に、募集をかけても集まらないことや、時間帯によって波がある「業務負荷の集中」が課題となっていました。

 そこで、おぎの里様が取り組んだのは、短時間でも勤務できる「業務を分担できる仲間を増やす」ことでした。業務を2.5時間ほどの短時間に分け、前の月から計画的に求人を出す。
-そんな運用の工夫によって、この課題にアプローチしました。今回は、現場の負担を減らした具体的な方法と、現場で起きている変化について、おぎの里の栗原様にお話を伺いました。

直接介護以外の業務負荷——朝の通所利用者の受け入れや入所者の食事時間に起きている「業務の渋滞」

介護の現場には、「人が足りない」という一言では言い尽くせない忙しさがあります。

特に忙しくなるのが、入所者の食事や通所(デイケア)利用者の受け入れの時間帯です。

食事介助が重なれば配膳や下膳が遅れ、業務に支障が出てしまいます。
また、通所利用者の到着直後は、手指の消毒、飲み物の準備、座席への誘導など、細やかな気配りが必要な作業が一度に重なります。

ここで職員の手が足りないと、一日のスタートから全体の流れが詰まってしまう。実は、業務が同じ時間帯に集中することが、現場スタッフの大きな負担になっていました。

2.5時間からの短時間募集と1か月前公開で「早く埋まる」。-現場に安心感

この「ピークタイムの渋滞」を和らげるために、おぎの里様はスポットワーカーの受け入れをはじめました。
運用の鍵は、大きく2つです。

‍1. あえて「短時間」に絞る

4時間以上の勤務になると、通常のパート採用の求職者層と重なるため、2.5時間〜3.5時間程度を基本としました。
「猫の手も借りたいほど忙しい時間」だけをピンポイントで切り出すようにしています。

‍2. 前月から「計画的」に求人を掲載

当月からではなく、「前月から細かく出していく」方が埋まりやすいため、 特に人手が不足しやすい土日から優先的に公開していきます。
そうすることで、現場が「来月はこの時間に人が来てくれる」と安心できる状態を先に作っていきました。

また、受け入れ体制も工夫しました。
窓口は管理者である栗原様が担いつつ、土日は現場スタッフだけでも対応できるように手順を整理。
さらに、経験の浅い人でも迷わないよう、感染対策や心構えをまとめたマニュアルを用意し、教える側の負担が増えない工夫も徹底されています。

「見えづらかった負担」が減り、現場からの「楽になった」という声

導入後、現場で実感されたのは「見えづらいけど負担になっていた業務からの解放」でした。

シーツ交換や物品の洗浄、ポータブルトイレの処理(バケツ洗浄・準備)、通所利用者へのお茶の準備、さらには名簿セットや翌日の準備など——。
一つひとつは細かくても確実に時間がかかっていた業務を、スポットで現場を支える新しい仲間にお願いできるようになり、職員は利用者への介助や声かけに、より集中できる時間が増えました。

「シーツ交換をしなくて済むだけで、本当に助かる」
「ポータブルトイレの洗浄をお願いできるので、介助にしっかり向き合える」
「また〇〇さんに来てほしい」

現場では、そんな声が聞かれるようになりました。
「その時間に、その仕事だけ」を担ってくれる存在が、現場の安心感につながっています。

また、回数を重ねるごとに「この人なら任せられる」というリピーターも増加。
今では「人を見ながら任せ方を調整する」という運用が定着し、スポットワーカーの方もチームの一員として自然に受け入れられています。

フルタイム採用だけを正解にしない——短時間勤務の活用で選択肢を増やす

経営・マネジメントの視点で見ると、おぎの里様の取り組みは採用の「選択肢を増やす」という大きな意味を持ちます。

紹介会社やフルタイム採用だけに頼るのではなく、スポットで仕事を任せられる「業務を分担できる仲間」という選択肢も持っておくこと。
労働力確保の不確実性が高い現代においては、それだけで、施設運営のリスクヘッジになります。

専門性の高い業務ではなく「周辺業務」を切り出す手法は、多くの施設で取り入れやすい工夫です。
現場に余裕が生まれると、課題の焦点は「人手が足りない」から、受け入れ品質や接遇といった「質の向上」へシフトできるようになっていきます。

人を増やすことだけが解決策ではない——そんな気づきが、今回の取り組みから見えてきました。

導入者の声

導入当初、現場には「教える負担が増えるのではないか」「どんな人が来るのか分からない」という不安もあったと言います。しかし実際に運用が始まると、現場の反応は「来てくれて助かる」という実感に変わっていきました。

最後に栗原様は、スポットワーカーとの関わり方について次のように話してくださいました。

「スポットで終わりにするのはもったいない、おぎの里でずっと働いてみませんか?」と声をかけることもあります。 とはいえ、家庭の事情や通院など、働き方の条件は人それぞれです。ですから、長期雇用に必ずつなげることをゴールにするのではなく、まずは現場が無理なく回る状態をつくることを大切にしています。

その結果として、『ずっと働き続けて欲しい』と思える人との出会いが生まれ、未来の選択肢が増えていけばいいと考えています。

加えて、新しくスポットワーカーの方が頻繁に施設を出入りするようになったことで、施設にも良い意味での「外の目」が入り、接遇や振る舞いを改めて見直すきっかけにもなっています。

外部の経験者から「他所ではこうしていましたよ」とアドバイスをもらう光景も今では日常の一部です。

多様なバックグラウンドを持つ人々を仲間として迎え入れる。その結果として職員の意識を研ぎ澄ませ、施設全体のサービス向上につながるということを実感しています。

あなたの施設でも、まずは「どこが忙しくなっているのか」を一緒に整理してみませんか?

おぎの里様では、シーツ交換などの“周辺業務”を短時間で切り出し、前月から求人を細かく出していく運用で、現場が回る状態をつくっていきました。

導入ありきではなく、まずは 「どこが詰まっているか」「何を切り出せるか」 の整理をお手伝いします。

・どの業務を「短時間の作業単位」に切り出すと、初回から任せやすいか

・何時間・どの時間帯にすると、応募が集まりやすくなるか

・リピーターが増える前提で、任せる範囲をどう段階設計するか

担当者が現場の業務フローを伺い、施設・事業所に合わせた「回る型」を一緒に作ります。

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